ただ一度の過ちが、運命を狂わせる。小野凛が触れてしまったのは、日本で最も尊き、絶対権力を持つ男だった。 彼の眼前では、言葉さえ紡げぬ無垢な少女。思考なき「愚か者」の仮面。 一歩外へ出れば、冷徹無比な処刑人。無数の裏の顔を持つ、最強の「支配者」。 石神颯介は嘯く。「あいつは繊細な泣き虫だ。傷つける者は、私が潰す」 彼女に膝を屈した名家たちは、絶句し、沈黙するしかない。「……誰が誰を虐げていると?」 だが、小野凛は姿を消した。彼の手をすり抜けて。 男は狂気ニ堕チタ。世界を引っくり返しても、必ず見つけ出す――。 彼女が翼を持つならば、さらなる高みへ押し上げよう。 ただ、夜の帳が下りれば、彼は甘く、厚顔に迫るのだ。「ねえ凛。今夜も、キスは許してくれないのか?」
