。料理でも摘まもうかとテーブルに近づいたら、ざわっ
麗しい青年が会場に入
知っていた。イエール国という一番近い隣国
くはないが、鉱山を持ち資源が豊富だ。他にも地の利を生かした珍しい植物と
で、噂話に事欠かない。アデリアより二つ年上の18歳だ。性格も良
中にある本という本は読み尽くし、最近は市井で流行っている恋愛小説なんてものにまで手を出している。これがなかなか
リアは知った。自分も一度くらい体験してみたいと思う。
っている。時期が来れば、大国の姫
禁されてはいても、アデリアは大国の姫として相応しい教育を受けてい
というそのただ一点において不幸だと決めつけるのは間違っている。差し引きで考えたと
なってからアデリアには一つ
しは悪役令嬢ポジショ
の立場を振り
小説の多くは王子様が庶
いし、どうしても側に置きたいなら愛妾として囲うしかなかなんて現実的な話をしたって意味がない。貴族や王族の結婚
る。それがいわゆる悪役令嬢だ。この悪役令嬢はたいていの場合、ヒロインである庶民に意地悪をする。わたしの婚約者に近づかないでという、貴族的に考え
にはなりた
破滅なんて望まない。政略結婚は仕方ないと思
て、いかにも悪役令
かった。だから注意するべきなのは、政略結婚で嫁ぐ相手にすでに愛し合う恋人がいるパターンの方だ。
意が必要だ。彼には自国の貴族の中に恋人がいるという噂がある。と
がいると告げられるらしい。いつもは闊達な王子がその時だけは憂いを帯びた顔を見せるそうだ。その顔もまたステキだ
るくらいだから、その噂
姫を娶るとしてもそれはた
ちょっと暢気
に限定しても、ざっと3人くらいは思い当たる。年齢順に上から
てそれなりにこちらを尊重してくれ
んなささやかな
年前から訓練をしている。自分がいつ悪役のポジションになってもいいように、心構えはしていた。料理も出来るようになったし、裁縫もまあ生きていくのに支障がない程度には出来ている。今までは興味がなかった剣の稽古なども始
いよりは知っている方がず
心配がいらない相手に嫁ぐこ
食住の心配がいらない生活をしたいだけ。でもそ
た料理をぱくぱくとアデリアは口に
デリ
震わす。一国の姫を呼び捨てに出来る相手は多く
は
て、声がし
さっと脇に退いた。父王の居る
であるイエール国の
予感が
には出さない。そういう教
ですか?
上げ、優雅に挨拶をする。周りの
る。だが、アデリアに施されている教育は一流だ。座学に礼儀作
お前の結婚相
っ直ぐに娘
んな父王を真っ
父親だと思った。王としても優
国王として父を敬愛していた。国のため、
は
返事を
に国王は満
ここに発表する。結婚式は三ヵ月後。アデリアは明日、カルス
、発表と同時にア
役令嬢ポジ
でぼやく。だがもち
はいなかった。娘であるアデリアもそうだが、隣国の王
ていて、国王は