サリン
ンッ
ラッドムーン礼拝堂の扉
らりとした黒い影が、大股で
ーダーメイドスーツ。広い肩に、引き締まった腰。爆発的な力を秘めた
られ、はだけた襟元から、冷たく白い鎖
ウス
に来
、まだたったの十分し
うちに祭壇へ上がり、射す
かに細められる。値踏みするよう
黙ってる?
やり顔を上げさせる。その声には、ぞ
もりで電話してきたんじゃないだろうな? あの能
はざらりとしてい
止めた。「あの人とはもう、なんの関係もないの! デリ
て、そんな度胸が
ドウの群れのアルファ、クラウスは血も涙も
数知れない。服を脱ぎ捨てて彼のベッドで待ち構えた者までいたけ
情を持たない化け物だ、きっと月の女神に呪われているに違い
れたあとも、私はずっと落ち着かなかった。ただ
くれるなんて。し
らい
を放したが、その目はなおも私
、胸の内で渦巻く
が、今も私の神経
はとっさに手を伸ばし、クラウスの
こわばった。深い青の瞳の奥
与えず、そのまま彼の手を
だから、さっそ
り、祭壇の誓いの
つめ、口の端に真意の読めない笑み
が、誓いの石
らんとした礼拝
ゥン
ムの天井を貫いて、まっす
の、あの激痛が嘘
いほどの温もりを帯びた力が、固く握り合った手
いシャドウウルフの紋様がじわじ
私のものと呼応するように、
が、
見つめた。頭の中に、霞
婚した
の儀式を、とう
番は――この三年間、自分を押し殺し
最大の
か見つめてぼんやりし
くかすれた声には、どこか
の熱い吐息が、耳もとにかかる。逆らう
。 お前は何度生まれ変わろうと、こ
かれたような気がした。私は慌て
てしてない
もが夢みたい
とした矢先、ク
の袖口を整えると、有無を
ら行くぞ。車に乗
とられて彼を見つめた。
ように笑い出した。形のいい眉を片
俺たちの家だろう。 シャドウ邸――
ちの
ちばん柔らかいとこ
児で、頼れる人な
援助を受けて育った。その恩に報いたくて、私は
ックと、本当の意味で自分た
、私のために灯りをともして
めに私を置き去りにしても、何度約束を破
、いつかきっと、彼は私に家を
、回を重ねるごとに深
が最後まで出し惜しみしたその「家」を――今日、たった二度しか会っ
くなる。私は慌ててうつむき、何
は、行けないの」小さ
気が、一瞬
。ついさっきまで笑みをいくらか含んで
に残って、あの能無しのデリック
とか身分証とか、大事なものをまだ何もまとめてないの!
立ちのぼっていた、今にも人を殺し
、わずかに表情
だけだろう。シャドウの群れ
自然に私の腰へ手を回し、外へと連れ出した
直にう
の前に停めてあった、いかにも
め具を探していると、背の高い黒
のほうへ身を乗
の体越しに、シートベル
る澄んだ音が、閉ざされた車
て、息をするこ
解けるのが苦手で、異性とは
世話の必要なカーミラがいた。デリックは私と食事をする時間さえろくに作ってく
は、あまりに
どに。それが力強い雄のフェロモンと混じり合い、隙間
られて、心臓が早鐘を打つ。今にも
片手を私の座席の背もたれに
意地の悪いから
楽しげな笑みがにじんでいた。「心臓もずい
があったら入りたくなる。私はしどろ
、こんなに近いの
れて
さらに意地悪く顔を寄せてくる。その強引な気配
には、隠そうともしない熱がこもっていた。「番になった
見開いて、呆然
ない冷血非情な男と噂
終わる運命だなんて、いったいこ
も獲物に飛びかかる気満
見抜いたらしい。けれど自重す
だ、そ
となぞる。その眼差しが、しだい
か? 俺たちはもう番なんだ。キ
く通った鼻筋が、今にも私
私の唇に視線を落とす。そして迷わず、さ

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