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退職してお見合いしたら、元上司の子供を妊娠していました

退職してお見合いしたら、元上司の子供を妊娠していました

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相沢詩織は藤堂尚哉に3年間尽くしてきた。 昼は彼の秘書、夜は彼の愛人として。 彼の言うことには何でも従い、その身を委ねる様は、まるで従順なペットのようだった。 しかし、彼が他の女性との結婚を発表した時、彼女は自らの卑屈な愛を毅然として捨て、彼を手放す。 だが、予期せぬ出来事が次々と起こり始める。 彼の執着、彼女の妊娠、母親の強欲な野心…… それらは彼女を一歩、また一歩と深淵へと突き落としていく。 ついに心身ともに傷だらけとなって去り、5年後に戻ってきた時、彼女はすでに新しい自分に生まれ変わっていた。 一方、彼は狂気のうちに丸5年を過ごしていた。 彼女と再会した彼は、すべての偏執と傲慢さを捨て去り、みじめなほどに彼女を抱きしめた。 「僕のそばに戻ってきてくれないか?」

目次

第1章明日、お見合いに行く (パート1)

豪華なオーダーメイドカーテンのタッセルが激しく揺れ、その隙間からなすすべもなく伸ばされた小さな手が、節くれ立った大きな手によって窓ガラスに強く押さえつけられた。

これで四度目だった。

男は一週間の出張で溜まった欲のすべてを、ぶつけようとしているかのようである。

相沢詩織が震える脚で泣きながら懇願して、ようやく男は恩寵を施すかのように解放した。

終わった後の余韻がまだ残る。背中越しに伝わる男の力強い心音が、心臓の芯を震わせた。

細かく執拗なキスが、まだ敏感なままの首筋に落とされる。

痺れるような感覚が、何度も繰り返し襲ってきた。

「まだいけるか?」

男の低く掠れた声には、からかうような蠱惑的な響きがあった。

彼女は体を横向きにし、男の首に腕を回した。

外の常夜灯の光が、男の冷徹な顔立ちを柔らかく染めている。

情欲に満ちたその瞳は、まるで全てを許すかのような深い情愛を湛えているかに見えた。

だが、彼女は知っている。

この男の心は、雪山の風よりも冷たいことを。

「明日、お見合いに行くの」

「ん」

男はこともなげに相槌を打った。

薄い唇が彼女の唇を捉え、ねぶるように貪る。

大きな手は彼女の細い腰を抱き寄せ、続きを始めようとした。

彼女の胸に苦い思いが広がる。

やはり……彼は気にも留めていないのだ。

再び煽られた体は微かに震え、

彼女は唇を噛んで喘いだ。

「もし良い人だったら、受けようと思う」

男の動きが止まった。

その深淵な眼差しが、冷ややかに彼女を見下ろした。

「結婚したいのか?」

「年末を過ぎたら、もう二十七歳になる。もう無駄な時間は過ごせない」

俯いた睫毛が表情を隠し、彼女は低い声で呟いた。

男の冷たく薄っぺらな唇端が描いた弧に、彼女は気づかなかった。

男は何の未練もなく体を離し、その直後、部屋の明かりが煌々と灯された。

彼女は少し慌てて、破れたドレスを掴んで胸元を隠した。

男はベッドの縁に腰掛け、煙草に火をつけた。

黒のスラックスは完璧なままで、黒いシャツのボタンが三つ開けられている。

その姿は妖艶で、性的だった。

彼女の視線は、煙草を挟む男の指に留まる。そこに嵌められた高級ブランドの婚約指輪が、部屋に満ちる甘い雰囲気をこの上なく皮肉なものに変えていた。

三年前、秘書に昇進したばかりの彼女が藤堂尚哉の出張に同行した際、ホテルの部屋で、男は彼女をベッドに押し倒した。

彼女は拒まなかった。一夜を共にした後、男は彼女の顎を掴み、「悪くない」の一言で、この三年にわたる関係が始まった。

昼は秘書、夜は愛人。

学生時代に一目惚れして以来の密かな恋心が、彼女を喜んでこの状況に甘んじさせていた。

しかし、彼はもうすぐ結婚する。人知れぬこの恋が、最後は『愛人』という惨めな結末で終わるのは嫌だった。

続けられないのなら、自ら去る人間になりたい。

視線を外し、彼女は自分のバッグを手に取ろうと歩き出した。

ここに来る時はいつも、着替えを準備している。

彼女に泊まる資格も、男の隣に立つ資格もないのだから。

伸ばされた白く細い手首が、不意に掴まれた。心臓が、きゅっと縮こまる。

「もう一回だ」

男は容赦なく、今度は半死半生になるまで彼女を貪った。

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