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裏切り夫を見捨てた妻、今は億万長者ママです

裏切り夫を見捨てた妻、今は億万長者ママです

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榛葉璃奈は、行く当てもなく、ある取引に身を委ねた。 ホテルで彼女を激しく求めたのは、非情にも別れた元夫だった! 彼は、忘れられない女性の仇を討つため、彼女の家族を破産に追いやり、さらには愛人契約を彼女の顔に叩きつけて侮辱した。 榛葉璃奈は弟を救うため、妻から愛人となり、昼は彼の「忘れられない女性」に嫌がらせをされ、夜は彼の下で溺れる日々を送る。彼女が耐え忍ぶのは、ただ真相を明らかにするためだった…… 後に、佐久間修哉はその女性が彼女をビルから突き落とすのを、冷ややかに見つめていた。 数年後、榛葉璃奈は子供を連れて華麗に舞い戻る。億万長者となった彼女は猛反撃を開始し、元夫を破産に追い込んだ! プライドの高かった男は魂が抜けたように、目を赤く腫らし彼女を壁際に追い詰める。「璃奈、俺が悪かった。やり直そう!」 榛葉璃奈は彼の宿敵の腕を取り、冷たく艶然と微笑む。「元旦那様、消えてくださる?私の幸せな家庭生活の邪魔をしないで」 佐久間修哉は彼女の腕に抱かれた自分そっくりの子供を見つめ、後悔の念に泣き崩れた!

目次

チャプター 1 元夫との再会

体を売る相手が、よりによって元夫であった。

暗闇の中、榛葉璃奈は男の喉仏に不慣れなキスを落とし、口にするのも憚られる言葉を紡いだ。「……今夜、必ず身ごもるよう努めます。ですから、どうか手付金として2000万円をいただけないでしょうか。 急いでいるんです」

しかし、璃奈の上にいる男は、ただ衝動のままに体を打ちつけるだけだった。初めての経験である璃奈にとって、それを受け止めるのはあまりにも過酷だった。

それはまるで、意図的な罰のようだった。男は璃奈の華奢な両脚を掴み、されるがままに組み敷かれる。

璃奈が耐えきれなくなる寸前、男は低く息を漏らし、この見知らぬ者同士の取引はようやく終わりを告げた。

璃奈の胸に後悔がなかったわけではない。

だが、実家は破産し、父は重い病に倒れた。 万策尽きた璃奈に、クラブの白石典子が一件の仕事を持ちかけてきた。相手は港川でも指折りの名士で、代理出産を望んでいるという。

妊娠すれば1億円が支払われるという破格の条件だった。

カチッ――ライターの火が唐突に灯る。

華奢な顎を大きな手に掴まれ、頭上から男の掠れた声が落ちてくる。「……ずいぶん頑張ったな。それに、この締めつけようとは──」

その声は氷のように冷たく、それでいて色気を帯び、どこか薄情な響きを持っていた。そして、あまりにも聞き覚えのある声だった。

璃奈の思考が停止する。ライターの光が目を刺し、数秒後、ようやく間近にある顔をはっきりと捉えた。

男は若く、璃奈を見下ろすように覆いかぶさっていた。

彼女の脳裏にあった、禿げ頭で腹の突き出た中年客の姿とは、まるで正反対だった。

息をのむほど端正な顔立ちは、どんな女でも心を奪われるだろう。

しかし――

璃奈の艶やかな顔から、見る間に血の気が引いていく。彼女は男を力いっぱい突き飛ばした。「どうしてあなたが?佐久間修哉!」

「意外か?」

顎を掴む手に、静かに力が込められる。男の鋭い瞳が冷たく凍りついた。「離婚してたった三ヶ月で、元妻が身を売るまでに落ちぶれたんだ。贔屓にしてやるのが筋だろう?」

――ドクン。 まるで水に溺れたかのように、息ができなかった。

ああ。 客が、まさか元夫だなんて。

これほど皮肉で、惨めなことがあるだろうか。

璃奈は引き裂かれたドレスの裾をぎゅっと握りしめ、艶めいた瞳に嘲りを滲ませた。「ええ、とても意外だわ。 無一文の男が、離婚を機に富豪に成り上がって、こんな夜更けに元妻を買いに来るなんてね。どうしたの? あなたの“本命”は痩せっぽちで、満足させてくれないのかしら?」

修哉は整った顔立ちに笑みを浮かべた。それは危うく、冷ややかな笑みだった。

璃奈は、彼がベッドから離れるのを見ていた。片手でズボンのジッパーを引き上げ、シャツとスラックスに身を固めた姿は、色香を放つ自分とは裏腹に、冷ややかなまでに禁欲的だった。

この男は、天から与えられたかのような存在感を放っていた。情事の余熱で浮かんだ滴が、精悍な腹筋を濡らしながら流れ落ち、ベルトの下の端正なスラックスに吸い込まれていく。

佐久間修哉は、どん底にあった頃ですら港川随一の美男子と讃えられていた。

だから璃奈は一目で惹かれ、彼を幼馴染から引き離し、無理矢理にでも自分の夫にした。

当時の彼女は、この男がどれほどプライドが高く、手段を選ばない冷酷さを持っているかを知らなかった。

結婚していた二年間、彼は見事に演じきった。

すべてが崩れたのは、三ヶ月前。榛葉家が破産し、港川一の富豪と呼ばれた父がビルから身を投げたその日だった。婿であった男はすぐさま外部と結託し、榛葉家の全財産を奪い去り、愚かな妻である自分は離婚届一つであっさりと捨てられた。

父は植物人間となり、弟の透析には金が湯水のように消えていき、妹は学費が払えず、無理やり休学させられた。

元夫は、びた一文よこさなかった。

彼女は港川中の嫌われ者となり、その日暮らしの生活に喘ぎ、ついには医療費のために代理母にまでなろうとしていたのだ!

充血した瞳で彼を睨みつけると、修哉は冷ややかに嘲笑った。「俺がお前に少しでも興味を持っていたら、二年もお前が処女のままでいると思うか?」

璃奈は、頭が真っ白になった。心臓が凍てつくように震える。

結婚して二年、未だに処女。

どんなに誘惑しても、彼は嫌悪感を隠そうともせず、指一本触れてこなかった。

それなのに、離婚した途端、1億円もの大金で私を辱めようというのか?

これほどの屈辱があるだろうか!

璃奈は、彫刻のように整った彼の顔を見上げ、涙に濡れた唇で笑った。「あの時、夫婦だったのに私の子を産むの断ったくせに、今さら大金で買うなんて、あなた、頭おかしいんじゃないの!」

その完璧な顔が、ついに氷のように冷たく歪んだ。

大きな手が璃奈の細い腰を掴み、修哉は彼女をソファに乱暴に押し付けた。

契約書と小切手を投げつけ、彼はソファに背もたれを預け、上から見下ろすように煙を漂わせ、冷酷に告げた。「望む通りだ。先払いで2000万円。俺の愛人になれ。子を産んだらそれで終わり。その子は――雪乃に育てさせる」

……は? 私が産んだ子を、彼の愛する中川雪乃に育てさせる、ですって!?

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