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悪役令嬢は幸せになる

悪役令嬢は幸せになる

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あらすじ

目次

公爵令嬢ミリシアは突如身に覚えのない罪で悪役令嬢として断罪されてしまう、婚約者に捨てられたミリシアはその場で処刑を言い渡されるが魔法王国の使者が現れる。

チャプター 1 悪夢の舞台

ミリシアは、ただただ力無く崩れ落ちるしかなかった。つらつらと自分の罪状を述べる次期宰相となる彼にも、自分を見下す次期神官長の彼にも、次期騎士団長の彼にも、次期国王であり婚約者であった彼は婚約破棄を宣言した最早ミリシアは彼にすら目を向ける気力は残されていなかった。 ミリシアの平穏で愛しい日々は壊された。 … ミリシア=グランバールは侯爵家の娘として生まれ、あらゆる知識、教養、武術、芸を叩き込まれた才女である。 彼女の婚約者、マークス=アルゲイツ王太子は少々我儘ではあったが心根の優しい少年だった二人は支え合い思い合っていた、あの女が現れるまでは…。 その女はさも当たり前のようにマークスの側にいた。そこは、ミリシアの場所であったはずなのに、露出の多いドレスを着て甘ったるい声を出しマークスに縋り付いた。 「ミリシア様に〜、殿下に近づくなって言われたのぉ〜。」 それを聞いたマークスは激怒し、ミリシアを捕らえるように命令した。 兵士に押さえつけられたミリシアの耳に見に覚えのない罪状が聞こえた。 「ミリシア、お前はランナに暴行や恐喝、窃盗をした罪で処刑にする。お前がこんな女だと思わなかった。」 違う…、そう言いたいのに声は出ず頭を押さえつけられ涙はミリシアのドレスを濡らすばかり。

「王太子マークスの名の下に宣言する! 侯爵令嬢ミリシア=グランバールを処刑…」 言いかけた声は途切れた、何故なら兵士の体が宙に浮き地面に叩きつけられた。 燃えるような赤い髪、澄んだ青空のような水色の瞳、身に纏う黒い衣装。 魔導王国国王ルベール=シュタイン陛下。 「何事だ、騒々しい。」 ルベールの登場にその場にいた全員が萎縮した 「何用か、ルベール国王。今は罪人の裁きを」 「ほう、貴様はそんなに偉くなったか。 罪なきものを裁くと妄言を吐くほどに。」 マークスの声をせぎるようにルベールは静かに冷たく切り捨てるように言った、ルベールの視線がマークスを捉えた。 「妄言だと…?無礼は許さんぞ、この女は我が愛しのランナに暴力や恐喝盗みを働いた不届きものだ。」 「無礼は貴様の方だ。今日はこの国の王の生誕を祝うパーティーのはず。その祝いの席で婚約者以外の女を連れ回る不貞行為、婚約者に暴言を吐き不確かな証拠だけの処刑宣言…。 加えて来客である余に対する無礼な態度、不敬である。」 ルベールの言葉を理解した彼らは顔を真っ青にしたが、マークスだけは顔を真っ赤にして怒るばかりであった。 「若い王のくせに偉そうに説教をするな。」 「世間知らずもここまでくるといっそ哀れだ」 嘲笑うようにルベールは微笑んだ。

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