禁断の恋小説

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片思いの代償

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高遠湊を諦めてから、十八日。 有栖川詩織は、腰まであった長い髪をばっさりと切った。 そして父に電話をかけ、福岡へ行き、慶應大学に通う決意を告げた。 電話の向こうで驚いた父は、どうして急に心変わりしたんだと尋ねてきた。 お前はいつも、湊くんと一緒にいたいと言って、横浜を離れようとしなかったじゃないか、と。 詩織は無理に笑ってみせた。 胸が張り裂けるような、残酷な真実を打ち明ける。 湊が、結婚するのだと。 だからもう、血の繋がらない妹である自分が、彼にまとわりついていてはいけないのだと。 その夜、詩織は湊に大学の合格通知を見せようとした。 けれど、彼の婚約者である白石英梨からの弾むような電話が

禁断の愛:守護者の憤怒

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この十年、私は後見人である一条蓮(いちじょう れん)に、ずっと密かに恋をしていた。 家族が崩壊した後、私を引き取り、育ててくれた彼。 彼こそが、私の世界のすべてだった。 十八歳の誕生日。 私はありったけの勇気を振り絞って、彼に愛を告白した。 けれど、返ってきたのは、見たこともないほどの彼の激昂だった。 彼は私の誕生日ケーキを床に叩きつけ、こう怒鳴りつけたのだ。 「正気か? 俺は君の後見人なんだぞ!」 そして、私が一年かけて描いた告白の絵を、無慈悲にも引き裂いた。 そのわずか数日後、彼は婚約者の詩織(しおり)さんを家に連れてきた。 「大人になるまで待っている」と約束してくれた人も、「君

炎に消えた家族、残されたのは叔父の腕だけ

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