吉沢 舞華の小説・書籍全集
君が死んでも、愛は終わらない
「ステージ4の膵臓がんです。余命、一ヶ月」 桜井芽衣は、静かに宣告を受け入れた。 結婚七年、誰もがうらやむ「愛妻家」の夫・蓮に捧げた人生は、実は脆い幻想だった。 気づけば、彼のワイシャツには、他の女の口紅がついていた。 「死ぬなら家の外でやれよ、迷惑だ」 最愛の夫から投げつけられた言葉は、彼女の心を木っ端みじんに砕いた。 なぜなら彼女は知っていた——もしもの時、彼がどう動くかを、痛いほどに。 だから彼女は、静かに決断する。 残されたひと月で、すべてを終わらせる。 愛した男との思い出の家が、愛人によって塗り替えられていくのを、 冷めた目で見つめながら。 だが、彼女の死は、終わりではなかった。 彼女が去った後の世界で、蓮という男の地獄は、ようやく始まる——。 愛とは何か。 後悔とは何か。 たったひと月の命が、十年の愛を、永遠の呪いに変える。 すべてを失って初めて、気づく真実。 これは、愛に目覚めるには遅すぎた男と、 愛に死んで、ようやく自由になった女の、 残酷で美しい、永遠の別れの物語。
