夜空 梨の小説・書籍全集
婚約破棄された私、冷酷な御曹司に拾われる
桜庭家で居候として暮らし、次期当主である健太の秘密の恋人として6年間尽くしてきた。 しかし、私が事故で入院している最中、彼は深町商事の令嬢との婚約をテレビで華々しく発表した。 傷ついた足を引きずって屋敷に戻ると、彼は悪びれもせず「結婚はするが、愛人として今まで通り愛してやる」と傲慢に言い放った。 さらに、実の母親すら私を庇うどころか、令嬢の機嫌を取るために、私を靴の窃盗犯に仕立て上げようとした。 「この子は昔から嫉妬深くて、人のものを何でも欲しがるんです!」 6年間の愛も、家族の絆も、彼らにとってはただの利益と体裁のための道具に過ぎなかったのだ。 完全に絶望した私は、彼らに媚びるのをやめ、証拠のクリスタルの靴を粉々に叩き割った。 そして、かつて貸しを作った深町家の真の権力者、深町響に電話をかけた。 「深町さん。その貸し、今すぐ返してください」
悲劇の筋書きは私が書いた
私は、しがないネット小説家だ。 ところがある日、私は自分が書いた小説の世界に迷い込んでしまった。 ヒロインの母親として、物語を前に進めるため、私はただひたすらに自らの役目を全うした。 ヒロインが生き地獄を味わい、家を失い、かけがえのない友と引き裂かれた、その先に―― 物語は、ようやくハッピーエンドを迎えたのだ。 安堵のため息をつき、身も心も軽くなって現実世界へと戻った私。 しかし、そこに残されていたヒロインからの別れの手紙には、こう綴られていた。 「お母様、どうかそうお呼びすることをお許しください」 「お母様……私に与えられたこの苦しみの数々は、あなたの世界では、芸術と呼ばれるものなのでしょうか?」
