白川涼の小説・書籍全集
御曹司は私を「ペット」と呼ぶ。でも、彼は私の救世主。
榎本真衣は横江渉を4年間想い続けていた。彼のために榎本家から冷遇されても、一途に彼に尽くしてきた。 あの日、横江渉が姉のために、榎本真衣を自らの手で他人のベッドへと送り込むまでは。 彼女はようやく悟った。どうしても温めることのできない心があるのだと。 自分のものではないのなら、もはや不要だ。 彼女はきっぱりと仕事に専念し、国際的なトップモデルとなって世界を驚かせた。あの男は後悔に苛まれる。「真衣、俺の世界には君が必要なんだ。戻ってきてくれ」 笑わせる。男が仕事より素晴らしいわけがない! ** 平市随一の名門を率いる藤井海渡は、人前では高嶺の花だが、その裏では偏執的で常軌を逸した狂気を抱えていた。 彼は榎本真衣の美しさを気に入り、彼女を従順で可愛らしいペットとしか見なしていなかった。 後に、きらびやかなレッドカーペットの上で、雲の上の存在だったその男は片膝をつき、大衆の前でこう告白する。「名分がなくとも、私は構わない」
