蜜柑林みかの小説・書籍全集
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隣の彼は、今日から婚約者
たった一歳しか違わないのに、昔から彼は「兄貴ヅラ」をして私に干渉してくる。 子どもの頃はサボりを咎められ、大人になって恋愛を始めても、また彼の出番。 友達に言われた――「ねえ、あの人……もしかして、あんたのこと好きなんじゃない?血が繋がってるわけじゃないんでしょ?」 その言葉を聞いた日から、私は意識的に彼と距離を取るようになった。だけど、お正月に帰省したときのこと。彼は突然、ひとりの女の子を連れてきた。 「紹介するよ。……この子、俺の彼女。ほら、挨拶して。『お義姉さん』って」 その晩、私は自分の部屋にこもって、声を殺して泣いた。涙が止まらなくて、布団の中にずっと潜っていた。 彼はそっとやってきて、私を包み込むように引き寄せて、優しく、涙を拭ってくれた。 「君が彼氏作って俺をやきもち妬かせるのはいいのに、俺がちょっと意地悪するのはダメなのか?」