大統領の妻をやめたら、マフィアのドンがパパでした。
【復讐×逆転劇×溺愛×後悔】
大統領と秘密裏に結婚して3年、藤堂柚は愛のない結婚生活に耐え忍んでいた。
母親の葬儀の場に、夫の長谷川彰は思い人である柏木詩織を伴って出席した。彼が放った「おばさん」という冷たい一言が、3年間の情を完全に断ち切った。
さらに皮肉なことに、母親が8ヶ月もの間待ち続けた移植用の心臓は、あろうことか長谷川の手によって奪われ、彼の愛する人へと与えられていたのだ。
「愛されていない方こそ、泥棒猫なのよ」柏木詩織は彼女の耳元でそう嘲笑った。
藤堂柚はついに見切りをつけ、離婚届にサインをしてその場を去る。
これからは孤独に生きていくのだと思っていた彼女だが、予想外の光景が待っていた——。
大統領府の外には高級車がずらりと並び、黒服の男たちが一斉に深く頭を下げたのだ。「お嬢様、お帰りなさいませ!」
A国中を震え上がらせるマフィアの首領が、彼女を壊れ物のように優しく抱きしめる。「柚、20年間ずっと君を捜していたんだよ」
そう、彼女は孤児などではなかった。
五十嵐家における唯一の愛娘であり、4人の兄たちが目に入れても痛くないほど可愛がる妹だったのだ。
しかも兄たちは皆、各界の頂点に君臨する大物ばかり。
その日を境に、藤堂柚の人生は「溺愛」一色に染まっていく。
一方、大統領である元夫はといえば——
五十嵐家の門前で膝が擦り切れるまでひざまずき、復縁を求めて三日三晩起き上がれずにいるという。