「エム、辛いのはわかってるけど、友達としてこう言わなければならない。
馬鹿なことで人生を投げ捨てないで。 一日中部屋に閉じこもっていると、結局気分が悪くなるだけよ。
私かティフに話してね。 私たちはあなたのためにここにいるんだから。 そして、何が起こっても目の前にある輝かしい未来を曇らせてはいけないよ。
あなたにはまだいろいろ経験して幸せになる権利があるのよ」
キャリーが言ったことは全て正論で、 同時に正論であるがゆえに、言うは易く行うは難いことばかりだった。 私は彼女に微笑むと抱きしめた。
「ありがとう。あなた達なしで何するかわからないわ」と私は言った。
「いつでもよ」とキャリーはにっこり笑って離れた。
「みなさん、こんにちは」
キャリーと私が部屋の前方に顔を向けると、新しい美術の先生がそこに立っているのを見た。 彼は黒板に向かって私たちに背を向けていて、 その後ろ姿から、背が高くて筋肉質だが、痩せていることがわかった。 彼は体型をあらわす長袖のスリムフィットのシャツと黒のスラックスを身につけていた。
彼はマーカーを取って、黒板に自分の名前を書き始めた。
イアン・ ヘイズ。
自分の名前を書きながら伸ばしていたその右手のシャツの袖口から、タトゥーのようなものがうかがえた
それは、どこかで見覚えあるような気がした...
「APスタジオアートへようこそ」と、