澄川雫の小説・書籍全集
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禁欲御曹司の執愛、もう遅い
「俺を喜ばせれば、助けてやる」 陰謀にはめられ破産し、かつての財閥令嬢は一夜にして落ちぶれ、男の寝物語の玩具へと堕ちた。 ところがその後ろ盾となった相手は、金と地位に恵まれた人物。容姿端麗で腕も立ち、彼女を骨の髄まで甘やかした。 彼女の後ろ盾となり、技を授け、あらゆる危機を解決してくれた。 だが水面下の企みが明るみに出たとき、彼女はようやく気づく。――自分は最初から、周到に育て上げられた利益の駒に過ぎなかったのだと。 心は打ち砕かれ、痛みを抱えて彼のもとを去った彼女は、やがて不死鳥のように生まれ変わる。 再び彼と顔を合わせた時、彼女の周りには数え切れないほどの求婚者がいた。 かつて自分の腕の中で甘く啼いた女が、今は他の誰かに柔らかな笑みを向けている。 嫉妬に燃えた彼は彼女を壁際に押し込み、腰を強く掴みながら問い詰める。 「今度こそ、何を望めばお前は俺のそばに戻る?」 彼女は冷ややかに唇を吊り上げた。「悪いけど、もう結婚しているの」