の壁が薄く、胎児の状態も安定していません。普
箋を書き、診察カードを手渡
松尾凛和はカードを受け取り
うに声をかけた。「本当に気をつ
とたび流産を経験すると、次はも
先生。気をつけます」 凛
りも待ち望んでいたのは、ほかでもない彼女自身だった。だ
松尾凛和は診療棟
を見る。「奥さま、旦那さまの午後三時のフライト
え、
尾凛和の頬には自然と甘やかな笑みが浮かんだ。
に一ヶ月近く。彼がいない日
娠検査の診断書を取り出し、何度も見返
ゃんがいる。あと八ヶ月も
ぐ彼に伝えたい――そんな
所に停めた。「奥さま、旦那さまにお
ている頃だと見当をつけて、電話をかけた。だが、応
。少し待ってみましょう」 そ
まだ姿を現
電話をかけたが、や
う少
くない。二時間の遅
時
。今度は冷たい音声ガイダンスではなく、す
聞こえた。「すみません、宗之は今お手洗いに行
、電話の向こうからはすでに無機
トフォンの画面を見つめ
回、宗之は出張に女秘書を
っと見つめ、宗之から
っても、何の音
らの折り返
のの、ついに我慢できず、
繋がった。受話器の向こうから聞こえてきたのは、聞き
ターミナルの駐車場にいるの。そ
めん。飛行機を降りてから、携帯の電源
笑顔が、ふ
そう言って、彼女は唇を噛みし
、君に話した
なものをおばさんに
まだ用事がある。帰る
が、声には波風ひとつなく静か
ほどの女の声がまた聞こえてきた。「宗之、ごめんなさい。
そめた。今にも「誰よ、あの女は」と問いた
つめたあと、彼女はそっと唇を結び
から何かを察したのか
がなかったが、お腹の子
はテレビが
に座り、テレビの内容など目にも入ら
後十時を
とつ漏らし、気づけばそ
に身体がふわりと宙に浮くような感覚があった
匂いと微かなお酒の香りを感じ取り、く