ひなた陽の小説・書籍全集
夏に腐った初恋と、宿敵の腕で目覚める私
18歳の彼女は、好きだった少年に願い通り嫁げると思っていた。 25歳の彼女は、しかし、あの男が嫌悪感を込めて言うのを耳にした。 「あいつか。ただの魚売りの娘だ。夜も触れる気にならん、魚臭くてかなわん」 彼女は、この関係は彼がただ飽きただけなのだと、無邪気にも信じていた。 あの男が新しくできた恋人のためにおばあさんの血を抜き、遺灰を撒き散らすまでは。 そこで、彼女はきっぱりと目を覚ました。もしかしたら、あの男はとうの昔のあの夏に腐りきっていたのかもしれない。 28歳の彼女は、あの男の宿敵のベッドに入った。それがまさか一生のことになろうとは、思いもよらなかった。
