小町こまちの小説・書籍全集
元婚約者の叔父と秘密の契約結婚
母の形見のピアスを探すため、私は自分の車のドライブレコーダーを確認した。 しかし画面に映っていたのは、婚約者の雅彦と、実の妹である美咲が私の車の中で激しく絡み合う姿だった。 「安紀みたいな気の強い女より、美咲のほうがずっと可愛いよ」 彼らの裏切りを家族の前で暴露すると、父は激怒して私の頬を平手打ちした。 そして、雅彦と私との婚約を破棄して美咲と婚約させ、私を別の政略結婚の道具として売り払うと冷酷に言い放った。 継母も雅彦も美咲を庇い、私を「家の恥」と罵った。 物心ついた時から、私は病弱な妹のためにすべてを譲らされてきた。私の存在は、あの子の幸せのための踏み台でしかないのか? このまま食い物にされてたまるか。 私は家を出て、一つの狂気じみた計画を実行に移した。 雅彦の叔父であり、鷹司家の絶対的権力者である鷹司暁と契約結婚すること。 彼らの「叔母」となり、受けた屈辱を何倍にもして返してやる。
秘めたる想いの代償
六年前、私は愛する男を救うため、その手で彼を破滅させた。今日、彼は私の人生に再び現れ、私に残された唯一のものを奪いに来た。 白血病で余命数ヶ月。私に残された望みは、娘の希(のぞみ)と残りの時間を過ごすことだけ。しかし、亡き夫の姉が、私には到底払えない莫大な慰謝料を要求し、親権を争う裁判を起こしてきた。 そんな中、相手方の弁護士として現れたのは、藤澤涼介(ふじさわ りょうすけ)だった。 彼は冷酷な仮面を貼り付け、クライアントが私の頬を殴りつけるのをただ傍観していた。そして、私を母親失格だと罵り、娘を奪うと脅した。 「サインしろ」氷のように冷たい声だった。「さもなければ法廷で会うことになる。お前からすべてを奪ってやる。まずは、その娘からな」 彼は、希が自分の子供であることを知らない。私が死にかけていることも知らない。ただ私を憎み、私の家族を破滅させた張本人の一族の女と、新しい家庭を築いていることだけを知っていた。 私は彼を守るため、残酷な嘘で彼を突き放し、すべてを犠牲にした。だが、その犠牲は彼を怪物に変え、今、彼は私を完全に破壊するための武器として使われている。 娘を救うため、私は命を繋ぐための治療費を諦め、彼女を遠い場所へと送った。彼が上の階で新しい子供の誕生を祝っている頃、私は病室のベッドで独り、息を引き取った。 けれど、私は彼に一通の手紙を残した。彼の完璧な世界を焼き尽くす、一通の手紙を。
二度目の人生、姉の踏み台にはならない
家が破産して、私は芸能界に入った。姉の学費を稼ぐためだった。 お金のために、年配の男の人に触られるのを我慢した。 自分を無理やり酒漬けにして、胃から出血したこともある。 そんな私を、いつも冷静で上品な姉は「功名心ばかりで自愛がない」と見下した。 けれど彼女は、私の稼いだ金を他人に援助するために使い、いい人ぶった。 名のある先生に彼女を指導してもらうため、私はライバルのスキャンダルを暴いた。 すると彼女は、「手段を選ばない、心根の悪い人間」と私を非難した。 それでも、私が手に入れたチャンスを彼女は断らなかった。 やがて彼女は有名な画家になった。 私は彼女のライバルから報復を受け、名誉も地位も失い、多額の借金を背負った。 私は、姉の恋人である資産家に助けを求めてくれと頼んだ。 けれど彼女はこう言った。「私は前から言ってたよね。人として善良でいるべきだって。そんな邪悪な考えは持っちゃだめ。ほら、これがその報いだよ」 私の過ちを反省させるためだと、彼女は助けを拒んだ。 私は追い詰められ、ビルから飛び降りた。 次に目を開けたとき——そこは、私が芸能界に入ったばかりのあの日だった。
