白川 結衣の小説・書籍全集
スピード婚したら、夫の秘密が多すぎる
祖母の願いを叶えるため、彼女は会ったこともない男性と結婚した。彼もまた、祖父の願いを叶えるための結婚だった。その男性が、国内屈指の大財閥を率いるトップだとは知らずに。 二人は結婚前に契約を交わしていた。一年後、性格の不一致を理由に離婚する、と。 こうして婚姻届を提出した後、二人は別々の道を歩み始めた。 時が来れば、お互いを解放できるはずだった。 ところが、突然祖父母が訪ねてくると言い出した。偽装結婚がバレないよう、二人はやむなく同居生活をスタートさせる。 同居生活、一日目―― 彼女:「言っておくけど、同居は同居。お互いの生活には干渉しないこと」 彼:「わかった」 しかしその後、二人は同じベッドで眠る仲に。 彼が探るように言った。「いっそのこと、本当の夫婦にならないか?」 彼女:「いいわ。でも、あなたはただのサラリーマンなんだから、節約生活よ!」 そして、ある日…… 待って、テレビのインタビューに答えている、あのオーラ全開の「独身貴族」、国内トップ財閥のトップ……どう見ても私の夫にそっくりじゃない? それ以来、彼の正体が次々と暴かれ、夫は必死に妻の心を取り戻そうとするが……。 ある日、可愛らしい子供が尋ねる。「ママ、この人がパパなの?」 彼:「――よくも俺に隠れて子供を?」 彼女:…… 恋愛経験ゼロの自分が、いつの間に子供を産んだというのだろう。 果たして、二人の未来に幸せは訪れるのだろうか?
記憶をなくした女将軍、運命の人を間違えました
不慮の事故で崖から落ちて記憶を失った私は、目覚めた時、自分が将軍であること、そして許嫁がいることだけを覚えていた。 やがて朝廷からの使いが私の前に立った時、私の心は高鳴り、期待に胸を膨らませた。 しかし副将は別の人物を指差し、あちらが私の未来の夫だと言った。 信じられなかった。「ありえない!気が狂でもしない限り、あの人を好きになるなんて」 太子は笑い出し、若君の顔は歪み、私に後悔するなと言い放った。 確かに私は後悔しなかった。後に心から悔やんだのは、彼のほうだったのだ。 残念ながら、私はもう、心も瞳も彼一人で満たされていた、かつての娘ではなかったのだから。
