秋山暁の小説・書籍全集
彼の約束、彼女の破滅
今夜は、私のキャリアで最高の夜になるはずだった。建築界の最高栄誉である「鳳凰建築大賞」。その最有力候補に、私は選ばれていた。 だが、賞を手にしたのは全くの無名――私の婚約者の初恋の相手であり、彼の兄の未亡人だった。私の最高傑作を形にしてくれるはずだった婚約者、城之内海斗。彼は、私の人生を懸けた作品を、いとも容易く彼女に譲り渡したのだ。 「彼女にはこれが必要なんだ」と彼は言った。そればかりか、私に彼女の指導役を強制し、私のプロジェクトの手柄をすべて彼女に与えさせた。プロモーション撮影の最中には、「最高の画を撮るため」という名目で、彼女が何度も私に平手打ちするのを、彼はただ黙って見ていた。 私がついに彼女を打ち返したとき、彼は私を解雇し、業界全体から永久追放した。それだけでは終わらない。病院の廊下で私を地面に突き飛ばし、出血させた挙句、見捨てて去っていった。 その時、私のお腹には、彼の子供がいたというのに。 冷たい病院の床に横たわりながら、私は決意した。お腹の子を連れて、姿を消すことを。新しい国へ飛び、名前を変え、すべての縁を断ち切った。 それから五年。私たちは、まるで亡霊のように生きてきた。
裏切り婚から始まる、義理叔父との逆転劇
結婚式当日、かつて私をいじめていた学園の女王が人前で花婿を奪った。 私は当然、彼が私の隣に立ち続けてくれると信じていた。 だが、彼は私の手を離し、迷いなく彼女のもとへ歩いていった。 その後、私は学園時代のいじめを暴き、彼女を訴えた。 しかし彼はそれをもみ消し、逆に私を「名誉を傷つけた」と告発した。 一瞬にして、私はネット全体から嘲笑と非難を浴びる存在になった。 披露宴の場で、彼は嘲りを込めて言い放つ。 「おまえの体の傷跡を見るだけで反吐が出る。」 「諦めろよ。俺の後ろには国家と渡り合えるほどの資産を持つ後ろ盾がいる。おまえが敵うはずない。」 次の瞬間、その“後ろ盾”と呼ばれた人物が私の腰を抱き寄せ、 耳元でやわらかく囁いた。 「全部あいつらを牢に送ってやろう。だから……俺を選んでくれないか?」
