虹色みのんの小説・書籍全集
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インターン枠を奪われて、母は修羅と化す
国家機密の極秘任務を終えた直後、娘から電話がかかってきた。 「ママ! 一年間準備してきた国連事務局のインターン、ついに受かったの!」 喜びで震えるその声に、私も胸が熱くなった。 娘はすぐにビザの準備に取りかかり、「何を持っていけばいい?」とメッセージを三つも送ってきた。 ……でも、一週間後。娘のGPSは、学校の管理棟3階を最後に、ぴたりと動かなくなった。 胸騒ぎのまま学校へ駆けつけた私は、目を疑った。壁の隅に、犬のように繋がれて蹲る娘。 その前で、ある少女が嘲りを浮かべて言い放つ。 「貧乏人が、私のパパが用意してくれたポストを横取り? 死にたいの?」 隣では、教員までもが媚びへつらっていた。 「いおりさんのお父様は全国一の富豪で、お母様は国家級の専門家。このポジションは、彼女以外にいませんよ」 私の眉がぴくりと動いた。 ——国連のポスト? それは、私の娘が必死に勝ち取った未来じゃないの? “全国一の富豪”と“国家級専門家”? それって……私と、私の“婿養子の夫”のことじゃない。 私は迷わず、あの番号に電話をかけた。 「聞かせて。あなた、外に隠し子がいるって本当なの?」