過去の旅人の小説・書籍全集
塩対応な億万長者vs独占欲全開の裏社会の帝王
本物の令嬢が帰還したことで、偽の令嬢であった彼女は家を追い出され、さらには育ての親であるその富豪一家から莫大な「養育費」の返済まで強要されてしまう。 彼女は貧民街にある実の両親の家へと戻り、隠していた裏の顔を明かすと、家族全員での大逆転劇を決意する。 長兄が起業でハメられた? 彼女は一兆規模の巨大グループを兄の前に叩きつける。「これ、あげるわ。好きに損していいから」 次兄が芸能界を干された? “ハッカーの女王”としてネット上の全データを改ざん。「彼こそがトップスターよ!」 三兄のデザインが盗作だと汚名を着せられた? 「国際デザイン協会を呼びつけなさい。私の兄をパクれるなんて、彼らにとっては光栄なことよ」 日々が順風満帆に進むのを横目に、あの本物の令嬢がまたもや被害者ぶった「悲劇のヒロイン」を演じ始める。 そこで彼女は腹を括り、猫をかぶるのをやめた。軽く手を振るっただけで、あっという間に世界長者番付のトップに君臨してしまったのだ。 だが、誰か教えてほしい。あの狂気と闇を抱えた裏社会のドンから逃れるには、一体どうすればいいのかを!?
見捨てられた妻から、権力ある女相続人へ
私の結婚は、私が主催した慈善パーティーで終わりを告げた。 ついさっきまで、私はIT界の寵児、橘圭吾の妊娠中の幸せな妻だった。 次の瞬間には、ある記者が突きつけてきたスマートフォンの画面が、圭吾と彼の幼馴染である遥が子供を授かったというニュースを世界中に報じていた。 部屋の向こうで、二人が寄り添っているのが見えた。 圭吾の手が、遥のお腹に置かれている。 これは単なる浮気じゃない。 私と、まだ見ぬ私たちの赤ちゃんの存在を、公に消し去るという宣言だった。 会社の数千億円規模の新規株式公開(IPO)を守るため、圭吾と彼の母親、そして私の養父母までもが結託して私を追い詰めた。 彼らは遥を私たちの家に、私のベッドに招き入れ、まるで女王様のように扱い、一方で私は囚人となった。 彼らは私を精神的に不安定だと決めつけ、一家のイメージを脅かす存在だと罵った。 私が浮気をしたと非難し、お腹の子は圭吾の子ではないと主張した。 そして、考えうる限り最悪の命令が下された。 妊娠を中絶しろ、と。 彼らは私を部屋に閉じ込め、手術の予約を入れた。 拒否すれば、無理矢リ引きずって行くと脅して。 でも、彼らは過ちを犯した。 私を黙らせるために、スマートフォンを返してくれたのだ。 私は降伏したふりをして、何年も隠し持っていた番号に、最後の望みを託して電話をかけた。 その番号の主は、私の実の父親、一条彰人。 夫の世界など、いとも簡単に焼き尽くせるほどの力を持つ一族の当主だった。
