黒雪薫の小説・書籍全集
仕掛けられた寵愛ゲーム
誰もが言った。彼女と彼は、天と地ほども差があり、到底釣り合わないと。 彼はビジネス界で名高い”ミダスの手”。投資の目利きは的確で、狙った獲物は一撃で仕留める。 誰もが思っていた。彼の眼に映るのは金だけで、情など持ち合わせていないと。 だが、彼が彼女を巧みに誘い込み、一歩ずつ沼に引きずり込んでいるとは誰も知らない。 なぜなら彼女こそが、彼の長年にわたる執着であり妄想。夜ごと心をかき乱す妖女、心の奥底に潜む魔なのだから。 「社長、約束が違います。可愛がるだけで、愛さない……はずでは?」 男はかすれた声で軽く笑う。「ああ。だから俺は、自分自身をお前に賭けた。俺はお前のものだ」 二人の始まりは不条理なもの。そして行き着いたのは、絶対的な服従だった。 大人のゲーム。二人の駆け引き。勝つか負けるかのゼロサムゲームに、生き残る者などいない。
身代わりで嫁いだ病弱な御曹司、その正体は私を捕らえて離さない超絶エリートでした
陰謀によって、彼女は病弱で顔に傷を負った名家の私生児の彼に身代わりとして嫁ぐことを強いられる。 一方は、家族に疎まれる本物の令嬢。もう一方は、家門から追い出された私生児。二人の境遇は、不思議なほど似通っていた。 ところがある日、彼女は偶然知ってしまう。貧しく落ちぶれたはずの夫が、実は絶大な権力を握る裏社会の大物だったということを? しかも、かつて一夜を共にした謎のCEOもまた、今の夫だというのか? 激怒する云初酒を、彼は腕に抱き寄せ、甘い言葉で囁くのだった。「ハニー、怒らないで。お腹の子に障るだろう!」
