「失礼」ウェイターがぶっきらぼうに言い、重いトレイでエリザの肩にぶつかった。
シャンパンがグラスの縁から溢れ、彼女のグレーのドレスの胸元を濡らした。冷たくて、べたつく。
ウェイターは謝らなかった。彼はエリザをちらりと見ると、彼女が厄介者だと気づき、嘲るように唇を歪めてから、本当に重要な客のもとへと去っていった。
エリザは胃が締め付けられるのを感じた。屈辱が物理的な重みとなって両肩にのしかかり、膝ががくがくと震える。空気が欲しかった。ここにいたくなかった。自分を守ると約束した男が、自分を苦しめた女との婚約を発表するのを見ているなんて、耐えられなかった。
彼女は踵を返し、うつむいたまま書斎へと向かった。
書斎は薄暗く、古い紙とレモンポリッシュの匂いがした。ハイド家の屋敷で、エリザが唯一安心できる部屋だった。彼女は重いオーク材の扉を背後で閉めると、その木に額を押し当て、必死に息を吸い込んだ。肺が焼けるように痛かった。
ドアノブが回った。
エリザは飛びのき、必死に目をこすった。アンソンだと思った。彼がここへ来て、みっともない真似はやめろ、カメラの前では笑え、住む家があることに感謝しろ、と言いに来たのだと。
しかし、戸口に立っていた人影はアンソンではなかった。
それは、部屋の薄暗い光を吸い込んでしまうかのような、黒いタキシードを着た壁のような大男だった。アンソンよりも背が高く、がっしりとしていて、その静かな佇まいは書斎の空気を十度も下げたかのようだった。
ダラス・コック。
エリザは息を呑んだ。なぜ彼がここに? コック・インダストリーズのCEO、この街で最も権力のある男が、書斎に隠れたりするはずがない。彼はエリザのような人間には目もくれないはずだ。
彼は真鍮のドアノブに手を置いたままそこに立ち、その黒い瞳で彼女の顔を観察していた。ドレスについたシャンパンの染み、頬の赤いまだら模様、そしてクリスタルのフルートグラスが音を立てるほど激しく震える彼女の手に、彼の視線が注がれた。
一瞬、彼がまとっていた——まるで花崗岩から彫り出された彫像のように見せる——禁欲的な仮面にひびが入った。顎の筋肉がぴくりと動く。
彼は中に足を踏み入れ、扉を閉め、パーティーの喧騒を遮断した。
彼は胸ポケットに手を入れ、ハンカチを取り出した。完璧な四角に折り畳まれた、白いシルクのハンカチ。彼は無言でそれを彼女に差し出した。
エリザはそれを見つめた。「わ、私は…大丈夫です」
「大丈夫ではない」ダラスが言った。その声は低い地鳴りのように、静かな部屋に響いた。「受け取れ」
エリザは手を伸ばした。シルクを受け取るとき、彼女の指が彼の手のひらに触れた。鋭く、予期せぬ静電気が二人の間ではじける。彼女はびくりと身を引いたが、彼は動かなかった。
ハンカチは白檀と、舗道を濡らす雨のような清潔な香りがした。それは高価な香りだった。安定の香りだった。
廊下から、アンソンの声が分厚い木の扉を通して聞こえてきた。乾杯の挨拶をしている。
「……私の美しい婚約者、クローディンに……」
その言葉は、エリザの膝の裏に物理的な一撃を食らわせたかのようだった。彼女の脚から力が抜けた。
しかし、床に崩れ落ちることはなかった。
ダラスが、その巨体からは考えられないほどの速さで動いた。一瞬前には少し離れた場所にいたはずが、次の瞬間には彼の腕が彼女の腰を抱き、支えていた。
その腕は力強く、堅固だった。彼はやすやすと彼女を支え、その腕はまるで鋼鉄の棒のように彼女の背骨に添えられていた。
エリザは見上げた。涙で視界が滲み、彼の顔立ちはぼやけていたが、その瞳に宿る強烈な光は見て取れた。それは憐れみの眼差しではなかった。恐ろしいほどの集中力をもって、彼は彼女を見ていた。
「連れ出して」彼女は囁いた。
止める間もなく、言葉が口からこぼれ落ちた。それは失恋から生まれた必死の懇願であり、この部屋で自分を押し潰そうとしていないのはこの男だけだという、突然の、抗いがたい本能だった。
ダラスはぴたりと動きを止めた。その瞳が深まり、茶色からほとんど黒に近い色へと変わる。彼は彼女を見下ろし、その願いの重さを測り、代償を計算しているようだった。
「ここを出たら、もう後戻りはできないぞ、エリザ」彼は警告した。その声は低く、どこかざらついていた。「私と共にあの扉から出れば、二度とこの家には戻れない」
エリザは必死に頷いた。涙が今や溢れ出し、冷たい肌に熱い筋を描く。「お願い。ただ、ここから出して」
ダラスはためらわなかった。彼は腕の位置を変え、タペストリーの後ろに隠された使用人用の出口へと彼女を導いた。そして、その広い肩で監視カメラから彼女を隠すように身を動かした。
外の夜気は肌を刺すようだった。滑らかなマットブラックのマイバッハが路肩でアイドリングしており、まるで影に潜む捕食者のように見えた。
ダラスが重いドアを開け、彼女が乗り込むのを手伝った。車内は革と孤独の匂いがした。彼がドアを叩きつけるように閉めると、完全な静寂が訪れた。音楽も、笑い声も、アンソンの声も——すべてが消え去った。
エリザはシートに身を沈めた。センターコンソールにクリスタルのデキャンタがある。彼女は何も考えなかった。ただ琥珀色の液体をグラスに注ぎ、一気に飲み干した。
焼けるようだった。空っぽの胃の底まで焼け付くようで、血が燃え上がるようだった。
ダラスが運転席に乗り込んだ。彼はエリザを見なかった。拳が白くなるほど強く、ハンドルを握りしめていた。
「どこへ行くの?」彼女は尋ねた。アルコールがトラックにでも撥ねられたかのような勢いで全身に回り、舌がわずかにもつれていた。
「俺の家だ」ダラスは言った。
車が動き出した。街の灯りがネオンの筋となって流れていく。エリザはめまいがして、どこにも繋ぎ止められていないような感覚に陥った。アルコールがアドレナリンと悲しみと混ざり合い、脳内で有毒なカクテルを作り出していた。
彼女はダラスの横顔を見た。彼はアザレアの父親。旧家の出。権力そのもの。
「盾が必要なの」彼女は呟いた。言葉が転がり出る。「彼が乗り越えられない壁が」
ダラスがバックミラーで彼女を一瞥した。その表情は読み取れなかった。
彼らは摩天楼を突き刺すようなビルに到着した。エレベーターの中では乗り物酔いで意識が朦朧とした。ドアがペントハウスへと開いたとき、エリザはよろめいた。
またしてもダラスがそこにいて、彼女を支えた。薄いドレスの生地越しに、彼女の腕に置かれた彼の手が熱く感じられた。
彼女は彼を見上げた。ホワイエのきつい照明の下では、彼は救世主には見えなかった。危険な男に見えた。
「私と結婚して」彼女は口走った。
その後に続いた沈黙は、耳が聞こえなくなるほどだった。
アルコールが言わせたのだ。森で一番大きな捕食者を見つけ、その陰に隠れようとする、傷ついた動物の生存本能だった。
ダラスは凍りついた。ペントハウスの空気が電気を帯び、エリザの腕の産毛が逆立つほどの緊張感に満たされた。
彼は笑わなかった。酔っているのだろう、とも言わなかった。
彼は絵画の後ろに隠された壁の金庫へと歩いていった。コードを打ち込むと、静かな部屋に電子音が響く。彼は書類と重厚な万年筆を取り出した。
彼は彼女のもとへ戻り、大理石のコンソールテーブルの上にその書類を置いた。
「サインしろ」彼は命じた。その声は穏やかだったが、裁判官の小槌が打撃盤を叩くような重みがあった。
エリザは瞬きをし、書類に焦点を合わせようとした。文字が揺らぐ。「結婚」そして「契約書」という単語が見えた。
細かいことはどうでもよかった。ただ、自分がもういないのだとアンソンに知らしめたかった。二度と渡れないように、橋を徹底的に焼き尽くしたかった。
彼女はペンを掴んだ。署名は乱雑で、最後の行にギザギザの走り書きが残った。
「終わったわ」彼女は囁いた。
ペンが指から滑り落ち、カランと音を立てて大理石の上に転がった。部屋が横に傾ぐ。
最後に感じたのは、再びダラスが彼女を受け止め、腕の中に抱き上げたことだった。そして、暗闇が彼女のすべてを飲み込んだ。
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