ジェームズが腹を立てているのを見て、マリアは彼が去ろうとする前に彼を押すのをやめ、愛想笑いをした。 「ごめんなさい。 むこうに座ります!」 彼女はドアの取っ手を握り、もう片方の手でジェームズの横の空いている席を指さした。
ジェームズは再び、彼女は一度下がって反対側から車に乗るつもりだと思った。 しかし、マリアは後ろのドアを閉めると、彼の足をまたいで彼の左側に座ろうとした。
夏が暑く、白いミドル丈のカーディガンに大きなベルトをし、ベージュのタンクトップを着ていたマリアは、 こぎれいで清楚に見えた。
マリアは車の中で動いている間、ずっとジェームズに顔を向けていた。 彼女がバランスを保つためにかがむと、胸の谷間が彼の目にさらされた。
ジェームズは記憶力がよく、 彼女の体を見ると、彼らが数年前の夜に愛し合った記憶が蘇ってくる。
ジェームズは息を荒げると、突然マリアの手首をつかんで、彼女の完全に動きを止め、 凄みのある声で「出て行け!」と命じた。 もうマリアと交渉する気を失っていたジェームズは、 翌日、部下に店のある建物全体を買い取ると決めていた。 どうせこの女は自分を口説こうとしていたとしか思えなかった。
ジェームズがマリアをドアの方へ引っ張ると、彼女はジェームズの腕の中に倒れ込んだ。 彼は彼女が故意にそうしたのだろうと考えた。
そして、彼女の香りがジェームズの鼻に届いた。 それはチューベローズとムスクが混ざった物で、彼女がフェアビューヴィラを去った夜に付けていた物と同じだった。