ジャスティンの指はキーボード上で素早く動いていた。 ファイアウォールを一つずつ解読しているのだ。 「クソ! どこの変人がこんなに複雑なプログラムを構築したんだ?」
その頃、FXインターナショナルグループのサイバーセキュリティ部門には、不穏な空気が流れている。 朝から、何者かが会社のシステムを攻撃し続けて、 プログラマー達はサイバー攻撃を防御するために悪戦苦闘していた。 すべての攻撃をブロックすることに成功していたものの、ハッカーのIPを追跡するまでには至っていなかった。 FX インターナショナルは日常的にサイバー攻撃を受けてこそいたが、それらはすべて小規模なもので、 今回のような持続的な攻撃に遭遇したのは初めてだった。
そう。 会社のシステムプログラムをハッキングしていたのは、他でもないジャスティンだった。 事の始まりは、エドワードが家に女を連れ込んでいたことが発覚した事だった。たとえその女が長く滞在していなかったとしても、ジャスティンには 神聖な家に母親以外の女性が入り込むことが許せなかった。 なので、彼はパパにこそこそ浮気をしたり、女としけこんだりする暇も無いくらい忙しくしてやろうと思ったのだ。