「この夕食会は私のためにあるんじゃないのよ。 あなたの婚約者のためなのよ、ダニエル」
「分かってるよ、母さん――」と言いかけて、横にいるアンドリューの大声で俺の声は掻き消された。
「うわあ!」
アンドリューの視線を追った先にあるものを見て、俺は口をあんぐり開けてしまった。 ダイニングに向かって歩いてくる、美しい女性。 天使のような顔で、花柄のロング・ドレスの上からでも、その体の曲線美が分かる。