私たちは20分近く車を走らせていたが、どちらも一言も発しなかった。 車内に聞こえる音といえば、絶えず漏れる私のため息か、フロントガラスから入り込む風の音くらいだった。 他の車も数台しかいないような道路だったので、沈黙は耳に痛いほどだった。
「ラジオをつけてもいい?」
圧倒的な沈黙を破る最初の質問を私が発した。
彼は眉をひそめて私を見たが、質問には答えずに また進行方向へ目を向けた。
「素晴らしい回答をありがとう! 本当に感謝するわ!」 私は目一杯の皮肉を込めて微笑んだ。
ズボンのポケットから携帯電話を取り出し、YouTubeを開いてロマンチックな曲を表示したところで、 私は、イヤホンが車のトランクに入れたバッグの中にあることをはたと思い出した。 スピーカーで聞く