「俺が初めてだったんだろ、愛しい君」
――「最低!」―― 私は心の中で悪態をついて、目を皿のように見開いた。 なぜなら、彼の両親が私たちの方に向かって歩いてくると、ダニエルは私の体を自分の方にぐいっと引き寄せたのだ。
私は彼の腕から抜け出そうとしたが、びくともしなかった。 しかし今回は、9センチのハイヒールのおかげで彼の顎と耳のあたりまで私の背が届いたので大いにありがたかった。
「賭けをしましょう、 ケリーさん。 私を手放したくないんでしょう、ねえ? 」
私はダニエルの腰から肩にかけて腕を回し、唇が耳に届くよう少し爪先立ちした。 そして、耳元でささやく前に顎に軽くキスをすると、彼はいきなり凍りついてしまった。
「ええと…… ごめんなさいね、ファーストキスじゃない