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第3章子供のパジャマ
3066    |    20/02/2021

「そうは思わない」 チャールズ・フーは首を振りながらようやくそう言った。

ボビーの失踪が分かった瞬間、彼はすべての部下と使用人をその男の子の捜索に行かせた。

もし誘拐犯がいたら、彼らの逃走を防ぐために警察に電話までした。 警察は街全体を捜索したが、少年はとても賢く、全くその痕跡を残していなかった。

「じゃ、あなたのおじさんの仕業かしら? またはジョセフ? ボビーは彼らの計画の邪魔でしょ」、アンジェリーナ・ファンは心配に声を震わせながらそう言った。

チャールズ・フーの目に何かが光った。

彼もまた、ジョセフ・フーがこのことに何か関係があるのではないかと思っていた。

6年前、フレデリック・フー、チャールズ・フーの祖父は自身の80歳の誕生日に、誰が会社の経営を継ぐか家族会議を開いた。

「私は年老いて死にかけている。だがチャールズもジョセフも結婚する準備はできていない」、とフレデリック・フーは浮かない顔をしかめてそう言った。 「正直私は気にしていない。 だが私は、私の会社の未来を約束する素晴らしい孫が欲しい。 だから先に男の子を見せてくれたほうに私の持ち株の70%をやろう」

、と彼は冷静に言った。 しかしその彼の言葉が家族全体を大混乱に陥れた。 株式を得るものが、TSグループの継承者になる。それが継承者争いに参加するために知っておくべきただ一つのことだった。

その会社を所有するとなると、誰もがチャールズまたはジョセフの妻を見つけに走るほど非常に重要なことだったのだ。

その告知の後、ハーディ・フーとデリック・フーはそれぞれの息子にふさわしい娘を探すために違う街を駆けずり回った。

翌日、ジョセフは新進気鋭のポップスターであるデイジー・ユーと結婚した。

しかしそれでもチャールズは何もしなかった。

「ジョセフはもう結婚したわ。 彼の妻は一か月以内に妊娠するでしょね」、とアンジェリーナは不安そうに言った。

しかし彼女の息子は何も言わなかった。

「あなたはドロシーと親しいでしょ? 電話してみるのはどうかしら?」 息子の無関心さをよそに、アンジェリーナは努めて親切にそう言った。

しばらく考えた末、チャールズがうなずいた。 「やってみて」

「もちろん」 そしてアンジェリーナはドロシー・チャンに電話をかけた。

しかし即座に拒否されたのだった。

ドロシー・チャンはその電話にただ笑った。 「おばさま、現時点で妊娠する余裕はないのです。でも結婚なら喜んでいます」

ドロシー・チャンが言い終える前にアンジェリーナは腹立たしげに電話を切った。 彼女は強い嫌悪を浮かべてその電話を見つめていた。もしその視線に力があったなら、受話器は炎上していただろう。 「ドロシーは図に乗ってるわね」、と彼女は噛みついた。 「彼女はただあなたと結婚したいだけで、子供を産むつもりはないのよ。 どうすればいいのかしら?」

何の返事もなく、それがただただ彼女をいら立たせた。

「ジョセフが株を手に入れようって時に本当にじっと座ってるつもりなの?」 自分の部屋に戻ろうと歩く彼の背中に向かってアンジェリーナは叫んだ。

彼がとうとう立ち止まってほんの少し振り向き、残忍な表情を見せた。 「娘を一人見つけてくればいい、その娘と赤ちゃんをつくる」、と彼は嘲笑しながら言った。 「どうやってやるか教えてあげなくてもいいよね?」

アンジェリーナは鼻を鳴らした。 「もちろん」

それはそもそも息子が誰にも執着しないということなので、この案をより気に入った。 彼女はソフィーを呼びつけて、誰か見つけてくるよう頼んだ。

ソフィーがある娘を家に連れてきて、9カ月後、彼らはボビーを産んだ。

すべてが秘密

裏に行われたので、チャールズがその赤ちゃんを証としてフレデリック・フーに渡し、のちに株式の70%を手に入れるまでジョセフでさえ何が起こっているのか知らなかった。

その時デイジー・ユーはまだ妊娠5カ月だった。

怒りのあまりジョセフはデイジーの腹を蹴り飛ばし、彼女を流産させたのだった。 それ以来彼女は妊娠できなくなった。

それらはもう昔のことだったが、忘れられるようなことではなかった。

ジョセフに何ができるのか本当に分かっている者はいなかった。

「チャールズ、私はあなたのおじさんの家に行って今すぐ聞いてくるわ。 もし彼がボビーに何かしたというなら、私があの子を連れ帰る」、とアンジェリーナは頬の涙をぬぐいながら言った。 彼女は孫を連れ帰るためなら何でもするつもりだった。

しかし彼女が行く前に、チャールズの電話が鳴った。

それが親友のジェイ・ファンからであるのを見て、彼はすぐに電話に出た。 「何かわかったか?」

「部下の一人が今朝ボビーを空港で見た。だから捜索の人数を増やしたぞ。 あの子が一人で飛行機に乗れると思うか?」 、彼は緊張した様子でそう言った。

チャールズは顔をしかめた。 「あの子は身分証を持っていないし、たぶんそれはないだろう」

「もしほかの誰かと一緒に乗ったら?」 アンジェリーナがさらに大きな声で泣き叫んだ。 「もしあの子が誘拐されていたら」、彼女はむせび泣いた。 「そんなことになったら死んだほうがましよ」

「でも部下は、彼が一人でそこにいたと言っていた。だから監視を続ける」、とジェイは言い加えた。

「わかった。 続けてくれ。 私も行くところだ」

チャールズはすぐに電話を切って、自分の車の鍵をつかんだ。 彼は頭を傾けた。 「母さん、家にいてくれ。 何か進展があったら知らせる。 多分ジョセフはこの件とは無関係だと思う」

アンジェリーナは泣きながらソファーに崩れ落ちた。 「私の孫を連れ戻してちょうだいね」

ナンシーはボビーを夕食に連れていった。 その後、彼女は母親の元を訪れた。 自分のアパートに戻った時にはもう夜の10時になっていた。

その間ずっと、ボビーは素直な子犬のように後ろをついてきた。

ナンシーは彼の入浴を済ませると、スーツケースを開けて彼用のパジャマを取り出した。

ボビーはそれを彼女の手から取って目を見張った。 「何で子供の服なんて持ってるの、お姉さん?」

ナンシーは笑った。 「私、子供服が大好きだから、普段からいいのがあったら買うのよ」

実際毎年、自分の幼い男の子のことを思って服を買っていた。 それらの服を手に持って涙をぬぐうほど彼女は彼のことを恋しく思っていた。 時には、彼のことを忘れられると期待して、無理やりそれらの服を片づけなければいけないこともあった。

「お姉さん、子供が好きなんだね?」 ボビーは頭を傾けた。

「もちろんよ、特にあなたみたいな賢くて素直な子がね」 ナンシーは彼の鼻を突いた。

彼の瞳に何かが光った。 実際には、彼は家ではかなりのいたずらっ子だった。 家にあるおもちゃを手当たり次第に破壊して、パパに代わりの新しいものを買わせていた。 彼は本当にそれをやめなかった。

しかしそのことを彼女に言うつもりはなかった。 そうして自分を見放したらどうするんだ?

ボビーは彼女のほうによたよたと歩いて、彼女の頬にそっとキスをした。 「お姉さん」、彼は明るい声でそう言った。

「ママって呼んでもいい?」

ママ、ママ…

その言葉に彼女の胸が痛んだ。

そうであれば… 彼女の目に涙がこみ上げた。

「ボビー、あなたが私のことをママって呼んだら、本当のママが悲しむと思うわ」

            
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